松田 裕美[作業療法学専攻]
先日、一年生を対象に現在の基礎科目学習(解剖学、生理学など)と実際の作業療法の仕事(私は精神科で勤務していたので精神科領域について)との関連についてお話をしました。中にはメモを取りながら熱心に聴いている学生もおり、とても前向きな様子でした。 精神科病院と聞くとみなさんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。怖いと感じたり、何をするかわからない人たちだと感じる人も少なくないと思います。学生にも同様の質問を行うと「怖い」と感じる人から「原因はわからないけどなにか理由があって行動しているのかも」と感じる人などさまざまな感じ方を表出されました。 実はこの問いを行うにあたり、私自身の中に一つ迷いが生じました。それは「実際に精神障害を有する方と関わりを持った経験が少ない(もしくはない)、まだ専門的なことに触れていない一年生に精神科のイメージを尋ねることはスティグマ(簡単に言えば偏見)を助長してしまうのではないか。」という点です。先行研究では精神障害者と関りを持ったことのない人ほどスティグマを持ちやすいということが示されていました。そのため、スティグマが高そうだなと予測はできたものの、実施への不安が私に付きまとったのです。一人では解決できず他の先生に相談すると、”スティグマを持っていることは悪いことではないこと、さらにそんなスティグマを持たれている患者さんと作業療法士としてどのように関わってきたのかを伝えてみては”と助言をいただき、 私自身の中でストンと腑に落ちた感覚を感じました。 この出来事を通し、「学生たちも悩んだり、不安になった際にストンとするきっかけが必要だよな」と改めて感じました。自分自身の感じたことを忘れずに、学生自身がそんなきっかけを感じられるように関わっていきたいと感じる今日この頃でした。
教員リレーコラム