堀部 恭代[作業療法学専攻]
4月1日。名古屋駅の構内で真新しい靴に着慣れないスーツをまとった「新人」と思われる人を何人か見かけた。 夕方だったためか、少し疲れた顔をしていた。この春、愛知医療学院から卒業した皆さんを思い出し、思わず「お疲れ様」と声をかけたくなった。 皆さんはどんな初日を迎えたのだろうか… 入社して初めて配属されたのはデイケアセンターだった。1人の対象者様に20分ずつ身体機能訓練をするだけで、あっという間に1日が終わるという毎日だった。 身体機能も生活も改善しない対象者様の姿、リハビリすることだけが生きがいだと言われる対象者様を目の当たりにして、本当にこれでいいのかと悶々と悩んだ。 “作業療法ってなんだろう” “その人らしく暮らすための支援とはなんだろう” 悩む中でこの2つの問いが芽生え、この問いに答えようと、今も仲間と語り合ったり、勉強会や学会に参加したり、研究をしたり・・・ という日々が続いている。 新人の頃を思い出すと、失敗をしたり、空回りをしたり、実力のなさを思い知らされたりと決して良い思い出ばかりではないが、そのような状況の中で生まれてきた”自分からの問い”に必死に答えようとする中で今の自分が作られてきたと思う。 新人の皆さんには”自分からの問い”に気づき、丁寧に向き合って欲しい。それがいずれ自分を成長させ、目の前にいる対象者様の力になると思う。 新人の皆さんが失敗をしながらも立ち上がる姿は「かつての新人」にも大きな力をくれる。 超高齢社会を迎える日本は皆さんの力を求めている。 皆さんが今までにない新しい発想で作業療法・理学療法を展開していくことを期待している。
教員リレーコラム