河野 健一[理学療法学専攻]
コラムの原稿の締め切りがあと数時間後に迫り、 何について書こうか……と、考えながら研究室の扉を開け、 部屋に入った瞬間、そうだ嗅覚について書こうと決めた。 大学が用意してくれた新しい研究室の匂いが好きだからか。 私は、子供の頃から匂い(臭い)の変化を感じやすく敏感なのかな、と思っている。 比較対象がなく、科学的根拠も何もないので、誰かより嗅覚に優れているとは言わない。 他人から「好きな匂いは何?」と聞かれる機会はほとんどないと思うが、 もし聞かれたら、かなり具体的に答える用意がいくつもある。 例えば、『晴れの日が続いた後、雨が降り始める少し前から降り始めた瞬間に アスファルトに自分が居るときに吸った匂い』など。 コラムを書くにあたって、嗅覚について少しだけ検索をかけた。 「嗅覚」のkey wordで検索をかけたのは、当然生まれて初めてだ。 思ってもみないほど、様々な情報が飛び込んできた。 ・「嗅覚障がいの原因や治療」についての解説が多々 ・「九州大学嗅覚センサ研究開発センター」とかいう研究施設があるようだ ・「嗅覚神経回路の精緻な配線図の解読に成功した」とのプレスリリースを出しているのは今話題の理研 ・「嗅覚の衰退(ある臭いの識別が困難)はアルツハイマー病の早期診断に有用」と、 国際アルツハイマー病学会にて発表された 自分の専門外の分野においてちょっと調べるだけで、 世界では多くの人が困っていて、 それを解決するために多くの医療者や研究者がアカデミックな仕事をしていて、 そして、私自身新たな知見が得られることを実感した。 嗅覚から理学療法を考えることもできるな……、とあれこれ推論してしまう。
教員リレーコラム