堀部 恭代[作業療法学専攻]
訪問作業療法をしていて、何度泣いたことか…。 自分の不甲斐なさへの悔し涙、大切な対象者が亡くなった時の悲し涙、 対象者にとって大切な作業ができたときの嬉し涙…。 訪問作業療法に携わるようになって、私は本当に泣き虫になったと思う。 今回は、2年間関わらせて頂いた方に突然告げられた”別れ”に号泣した。 「堀部さんがいなくても、何とかやっていける自信がついたの。 今月いっぱいでリハビリ(訪問作業療法)を終りにしようと思うの。いいかしら?」 この言葉を心待ちにしていたし、覚悟もできていたつもりだったが、涙が止まらなかった。 ほぼ寝たきりの姿でお会いしてから、 ゆっくり湯船につかること、肉じゃがを作ること、 洗濯物を自分で干すこと、お寿司屋さんに行くこと、夫婦で旅行に行くこと…。 その方にとって大切な作業ができるように、 ご本人・ご家族と何度も何度も話し合いを重ねながら、力を合わせてきた。 大切な作業に触れるごとに、ご本人・ご家族が自信を持ち、 自分たちで様々な作業に挑戦していく姿がみられた。 この方なら、体が動かしにくくても、 自分の大切な作業を諦めることなく行い続けられると確信している。 ご自分から訪問作業療法の終了を決意されたことが本当に嬉しくて、 でも別れが寂しくて、色んな感情が混ざって涙が止まらなかった。 また、新しい方との作業療法がはじまる。 今度はどんな方とどんな作業に挑戦することになるんだろう… また”別れ”を切り出されて、こんな思いをするんだろうな… でも、少しも嫌じゃない。 訪問作業療法の仕事は決して派手ではないけど、本当に遣り甲斐がある仕事だと思う。 一人でも多くの方が訪問作業療法に興味を持ち、従事してくれますように。
教員リレーコラム